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<ごあいさつ>
 早くも梅雨入りし、いきなりの猛暑で何となくしんどいという方が多いように思います。現在サッカーW杯が行われているブラジルの国土面積は日本の22.5倍で、ロシアを除くヨーロッパ全土より大きいそうです。東西4336q、南北4320q(ちなみに北海道稚内市と沖縄県石垣島間の直線距離は約2830q)と広大であり、現在ブラジルの季節は冬ですが、例えば日本が第3戦コロンビア戦を行うクイアバの6月の平均気温は最高31度、最低18度となっています。また日本の初戦のコートジボワール戦は熱中症が懸念され試合開始時間が夜遅くに変更されました。ちなみに一番南に位置する会場であるポルトアレグラの平均気温は最高19度、最低10度であり、会場により10度近くの寒暖差があります。日本が予選リーグ3試合を行う会場はすべて中部から北部に位置しており、日本代表はアマゾン川流域で赤道近くの高温多湿気候に馴れるために、時差ボケ対策とともに慎重な「暑熱馴化」のプログラムを組んで大会に臨みました。とくに気温、湿度ともに比較的低いヨーロッパでプレーする選手達(本田、香川、長友、岡崎、内田、川島、長谷部、吉田、大迫など)は、Jリーグ組(遠藤、大久保、柿谷、山口、今野、森重など)よりも暑熱馴化に時間がかかることが予想されていたそうです。このように超一流のアスリートであるサッカー選手であっても時差や温度差などに適応するのは時間がかかるという事実は、ある意味人間の身体の繊細さを表しているように感じます。我々が急な暑さに馴れずに、体がついていかないのも当然かもしれません。そのことをよく認識し、暑いからといってあまり家に閉じこもらずに、少しずつ暑さに馴れていくことが大切です。もちろん水分補給は十分に、熱中症対策を考慮することは重要です(はーとだより創刊号をご参照ください。待合室にバックナンバーがあります。クリニックのホームページからもご覧になれます)。

 さて、そのW杯もすでに開幕し日本の運命も決まってくる頃かもしれません。ザッケローニ監督は大会前に「コンディションさえ整えば相手がどこであってもいい試合ができる」という趣旨の発言をしていました。一年前の今頃、私はザッケローニ監督に対して批判的でした(はーとだより8号)。今となっては結果を出してくれることを祈るのみですが、今回のメンバー発表で感心したことがあります。それは攻撃陣に背の高いフォワードの選手を選ばなかったことです。例えば試合後半の時点で劣勢な状況の場合、大型の選手を入れてどんどんその選手目掛けてボールを放り込むパワープレーと呼ばれる戦術をとることが一般的です。また逆に後半の勝っている状況でも、相手のコーナーキックやフリーキックなどのセットプレーの際の守備にも大型選手は有用であることから、サガン鳥栖の豊田選手を選ぶのではないかと予想していました。しかし監督は、「日本には高さを生かして攻めるという文化がない」という内容の発言をしていました。すなわち、そういう文化のある世界の国々の大型選手たちとまともに勝負してもそう簡単には点は入らないという意味に理解しました。確かに世界の強烈なセンターバックにヘディングで常に勝てる選手は日本にはまだいません。裏を返せば、日本人選手の長所である敏捷性(アジリティー=瞬間的なスピード)を生かせばパワーに勝てるという確信がザッケローニ監督にはあるのだと思います。同時に「主導権を持って戦いたい」ということも言っています。これまで世界の一流国を相手にするときは過度のリスペクト(相手に対する敬意)を持ちすぎて、むしろビビッていた日本が初めて本気で対等の勝負に挑もうとしていること、そしてそこまで日本代表チームを信じてくれていることに私は感動しました。但し、サッカーというスポーツにおいて点を取ること(=攻撃)と、点を取られないようにすること(=守備)を比べると確実性が高いのは守備であり、点が入るか入らないかは水物だと言われます。そういう意味で日本代表の守備陣には高さが決定的に欠けています(仮にセンターバックに吉田と森重の二人が入ったとしても)。凋落が囁かれているスペインのFCバルセロナもセットプレーで相手の高さにやられる場面が目につきます。前回南アフリカ大会の中澤と闘莉王コンビの方が現在のセンターバックよりも高さに関しては上であり、強さを含めた守備が日本の最大の弱点だと考えます。今の日本代表は見ていて面白いサッカーを世界に披露してくれることと思いますが、結果がついてくるかどうかは別物です。「攻撃は最大の防御」「肉を切らせて骨を断つ」というコンセプトのようですが、下手をすると惨敗、3連敗もあり得ると思っています。この原稿を書いているのはまだW杯開幕前であり、日本の結果は勿論分かっていません。しかし、万一予選リーグ敗退になったとしても、「主導権を取って攻めるサッカー」という日本サッカー史上初めての理念を持って戦ってくれれば受け入れようと私自身は考えています。そしてその土台を崩さずに、次に足りないところを補い、積み上げていけばいいのです。これまでの日本代表は監督が替わるたびに理念作りから始めていたような気がします。暑熱馴化対策がうまくいき、ベスト8まではいって欲しいという希望は持っていますが、将来の日本サッカーの方向性を定めてくれることになればザッケローニ監督の功績は大きいといえるでしょう。 

(院長)